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2017年となりました。当サイトにお越しいただいている方の中には借換えのみならず、新規借り入れ、すなわちマイホームの購入を検討されている方も多いと思いますが、新春らしく「今年はいつ住宅を買えばよいか」考えてみたいと思います。
まず本題に入る前に、住宅購入者の方々が「買い時と思う」理由というのは、住宅金融支援機構のアンケート結果に基づけばこうなります(複数回答)。
・消費税率引き上げが再延期されたから : 68.9%
・住宅ローン金利が低下しているから : 62.6%
・今後住宅ローン金利が上がると思うから : 20.5%
・景気回復が広がっているから : 17.4%
・住宅ローン減税等があるから : 15.1%
・今後住宅価格が上昇すると思うから : 9.2%
要するに「住宅ローン金利」と「税制」の動向に大きく影響されており、それらからかなり引き離されて「不動産価格動向」が意識される、といった構図になっているわけですね。
というわけでこの「住宅ローン金利」、「税制」、「不動産価格動向」の3点から、今年=2017年、いつマイホームを購入すればよいか考えてみたいと思います。
1.住宅ローン金利動向
ここ数ヶ月、住宅ローン金利は全体的にジワジワ上昇しているわけですが、その理由は住宅ローン金利のベースになる市場金利がジワジワ上昇しているからですね。いつものように長期金利のグラフをチェックするとこうなります。
ちょうど1年前に日銀から「マイナス金利政策」が発表された後に大きく低下した長期金利ですが、2016年7月に発表された追加緩和が期待外れであったことや、9月に発表された「金利操作付き金融緩和」の影響で「−0.1%〜0%」のレンジ内に上昇しました。
さらに11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利したことからアメリカの長期金利が急上昇し、それに追随する形で足元では「0%〜0.1%」のレンジ内に上昇しています。
こうした金利動向を受けて住宅ローン金利が上昇するのは当然だと言えます。
では今後、市場金利はどうなるのでしょうか?
当サイトとしては先日ご案内したように、アメリカの金利上昇はトランプ政権への過度な期待がしぼむことから2017年3月ごろに一服するというのをメインシナリオとして捉えており、もしそうした認識が正しければ、住宅ローン金利も「年初は多少上昇することはあっても年央以降は低位安定する」ことになります。
>>>[住宅ローン金利予想2017] 本音の2017年住宅ローン金利予測と見通し
ただ年始の報道などをチェックしてみると、市場関係者の予想としては「アメリカの金利は1年を通じて上昇していく」というのがコンセンサスになっているようで、もしそれが正しいなら日本の長期金利も1年を通じて上昇圧力を受けることになります。
では実際に長期金利や住宅ローン金利が素直に上昇していくかと言うと・・・それはなさそうです。と言うのも上記の通り新たに開始された「金利操作付き金融緩和」によって長期金利は「0%前後」に目標設定されており、今のところその「0%前後」というのは
・−0.1%〜0.1%の間
と解釈されているからですね。だとすると「長期金利は上昇しても0.1%止まり」ということになります。現在の長期金利は「0.055%」ですので仮に上昇しても「あと+0.045%」というわけです。
もちろん逆に低下しても「−0.1%どまり」と言えるのかもしれませんが。
とすると「金利操作付き金融緩和」がきちんと機能すれば、日本の長期金利も住宅ローン金利もどちらも「大きく上昇することも、大きく低下することもない」というのが結論になります。
そう考えれば多少変動することがあっても大局的には「住宅ローン金利の超・低金利」が続いていくわけで、住宅ローン金利動向という点では「2017年はマイホームの買い時感が続く」と言えそうです。
2.税制
住宅取得に関する税制と言えば大まかに以下3つですね。
・住宅ローン減税
・すまい給付金
・住宅購入資金の贈与税免除
これらについては消費税再増税が2019年10月まで延期されたことに伴い、いずれも延期されておりますので少なくとも2017年の間は「無風」です。
ちなみにその消費税再増税ですが、ほとんど理由にならないような理由で延期されたことから、「実質的に廃止になった」という指摘もよく耳にします。もしそれが正しいなら、相当長い間今の枠組みが続くことになりそうですが果たしてどうなるでしょうか。
いずれにしても税制という点でも「2017年はマイホームの買い時感が続く」と言えそうです。
3.不動産価格動向
上記の通り、消費者の「買い時感」は「住宅ローンの金利動向」と「税制」に大きく影響されることから、これら2つに「大きな変化」は予想されない以上、「買い時が続く」と結論づけても良いようなものですが、ただ記者個人として一番気になるのがこの3つ目の不動産価格動向だったりします。
これまたいつものように国土交通省が発表している最新の不動産価格指数をチェックするとこうなっています。
中古マンション価格が下がり始めたり、新築マンションの契約率が下がり始めたりと言った「弱気材料」は増えつつあるものの、依然として新築マンションの価格指数は順調に上昇し続けているのですね!
一方、戸建て住宅や住宅地については2010年の水準=100前後を維持しているわけですから全く不可解な状況という気もしますが、国土交通省のデータを信じるのであれば「戸建てや住宅地を購入される方は(上昇していないという意味で)買い時」、「マンションを購入される方は要注意」ということになります。
ではマンションを購入される方にとって2017年のいつが買い時となるのでしょうか?
これは当たり前ですがこの1年でマンション価格がどうなるかによって変わってきます。つまり・・・
・1年を通じて上昇する → 早めに購入した方が良い
・1年のどこかで下落に転じる → 遅めに購入した方が良い
というわけですね。記者個人としては上記の通り「契約率の低下」などを踏まえれば後者の「1年のどこかで下落に転じる」という予測を支持したいですが、ただそうは言いつつ現実的には上昇し続けているわけですから「1年を通じて上昇する」と考えておいた方が無難でしょうね・・・。
とすると「2017年にマンションを購入する場合は早めに購入した方が良い」というのが結論となります。
もちろん急かす気は全くありませんし、まずは「気に入った物件に出会える」ということが大前提になるのは言うまでもありません。
加えて、仮にこのマンション価格の上昇が「マンション・バブル」とするのであれば破裂するリスクについては頭の片隅に入れておきたいところです。万が一破裂するとすれば、「100」というのは大きな目安となりそうです。つまり今「131」のものが「100」まで低下する可能性は大いにある、というわけですね。
3,000万円のマンションであれば2,280万円まで、5,000万円のマンションであれば3,800万円まで、7,000万円のマンションであれば5,320万円まで下がる可能性があるということです。
「131が100まで下がる」と言われてもピンときませんが、「5,000万円が3,800万円まで下がる」と言われるとかなり迫真に迫るものがあります。
そうした予想に反して「131」が「160」や「190」になる可能性もゼロではありませんが・・・。
何でも「値段が上昇し続けているモノ」を購入するタイミングが一番難しいわけですが、2017年にマンション購入を検討されている方は、「住宅ローン金利動向」や「税制」だけでなく、「マンション価格動向」にも注意を払い、慎重に購入の是非を判断いただければと思います。
<日本住宅ローンプランニング編集部>